住民
本件
恩賞
恩賞制度を知らなくとも,本件各契約の存在を知れば,やはり 正当な理由はないことになる。
c(a) 本件で問題とされている本件恩賞制度は,秘密裡にされたわけ ではなく,制度の趣旨を関連業者に周知した後,平成8年10月3 1日から施行したものである。
関連業者への周知は,平成7年10 月16日開催の「平成6年度施工優良工事等表彰式及び主任技術者 研修会」において説明をしているほか,同会の準備に当たっても, 本件恩賞制度について秘密裡に説明をしたことはなく,オープンに 行っており,住民に知り得た状態に置かれていたものである。
上記 表彰式には,業者130社余りが出席しており,市議会代表者,新 聞記者等が出席している,太田市では,文書で業者に会の開催を通 知しており,特に秘密裡に会を催したものではない,具体的な出席 者の氏名は判らないが,優良業者として表彰された業者はもちろん, 表彰外の業者からも最低各1名は出席しているはずである。
このよ うに,会の参加者には特に制限を設けてなく,参加者の氏名や正確 な人数も把握できないことからも判るように,本件恩賞制度の説明 を行った際に,外部に対し秘密とした趣旨は全くない。
また,本件各契約自体は,普通地方公共団体として秘密裡に契約 することは不可能なものである。
(b) 本件恩賞制度が上記のように,各業者や報道機関等に公開され ており,一般市民にとって,十分な注意力をもってすれば本件恩賞 制度の存在及び内容を知り得る状態であったことは明らかである。
また,本件各契約の存在に関しても,決算において監査を受け,ま た,行政審査においては,市民からの審査請求があれば,その内容 - 14 - を公開している。
さらに,市民は,いつでも契約内容について情報 公開を求めることができるのであって,相当の注意力を持って調査 すれば,本件各契約の内容が分かったものである。
また,随意契約 によることができる場合の判断については,常に論争があり,住民 監査請求も全国的に多数申立てがあることは,一般市民にとっても 承知の事実である。
(c) 原告は,地方自治体の行為に深い関心を持ったものであり,一 般市民より深い注意力をもって自治体の行為を監視していたもので ある。
合併前の旧太田市の情報公開条例は,平成11年太田市条例 第5号として施行されており,一般住民にも周知されているが,特 に市民オンブズマンとして活動している原告にとって同条例の活用 により本件各契約の存在及び内容を十分に知ることができた。
現に 原告は,平成13年6月6日及び同月13日に,太田市水道局の水 道メーター発注に関して,上記条例を活用して旧太田市に情報公開 を求めている。
これに対し,旧太田市は,情報公開に関して透明度 が高いと原告らから評価されていたのである。
d したがって,少なくとも,原告にとっては,平成13年6月の時点 からは,本件各契約の存在及び内容を知り得る状況にあったのであり, 法234条2項本文の住民監査請求期間を経過したことについて原告 に正当な理由はない。
イ原告 (ア) 法242条2項ただし書の正当な理由の有無は,特段の事情のない 限り,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに 客観的に当該行為を知ることができたかどうか,当該行為を知ることが できたと解される時から相当な期間内に住民監査請求をしたかどうかに よって判断すべきである。
- 15 - そして,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽く しても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計上の行 為の存在又は内容を知ることができなかった場合とは,当該行為が秘密 裡にされた場合に限らず,普通地方公共団体の住民が相当の注意力をも って調査を尽くしても客観的にみて監査請求をするに足りる程度に当該 行為の存在又は内容を知ることができなかった場合にも同様であると解 するべきである。
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(イ) 本件恩賞制度の存在は,以下に示すとおり,住民のみならず太田市 議会にも隠蔽されていた。
a 他の制度の積極的な公表と本件恩賞制度の非公表 P1は,平成7年に市長に就任して以来,積極的に入札・契約制度 の改革に取り組んできた。
平成10年には入札の透明性を高めるため に全国に先駆けて予定価格の事前公表制度を導入するとともに,談合 防止の観点から郵便入札制度を採用した。
また,平成12年には入札 の競争性を高めるため県内初の受注希望型指名競争入札を本格的に導 入した。
そして,これらの新制度の導入に当たっては,常に競争の重 要性,透明性の重要性を唱え,その趣旨や概要を積極的に議会やマス コミ,一般市民にアピールしてきた。
そして,入札・契約改革に取り 組む太田市長P1の名は全国的に知れ渡っていったのである。
本件恩賞制度もこれらの先進的な制度の導入と前後して,平成8年 に制定されたが,これらは,マスコミにも,市の広報誌や市のインタ ーネットホームページにもどこにも公表されていない。
市の広報誌に 優良工事請負業者が表彰されたことが掲載された際も,本件恩賞制度 には一切触れていないのである。
b 随意契約の相手方選定理由の非公表 随意契約の相手方選定の理由の公表は,地方自治体の長にとって法 - 16 - 律上の義務であり,公表は,公衆の見やすい場所への掲示,閲覧所又 はインターネットによる閲覧の方法により行うとされている。
よって,市の広報誌などに掲載されていなくても,被告市長がこの 義務を履行していれば,住民が受け身でなく相当の注意力をもって調 査すれば本件恩賞制度によって本件各契約の相手方が選定されていた ことを知ることができたといえる余地もある。
しかし,被告市長は,この義務をまったく履行していない。
太田市 は,平成15年7月に国土交通省が実施した調査に対して,随意契約 の相手方選定理由を今後「公表予定」としたが,その後も公表してい ない。
太田市のホームページで工事発注予定や指名基準は公表するが, 随意契約の相手方選定理由は非公表のままである。
これでは,本件恩 賞制度は隠蔽されていたとしかいいようがない。
c 市議会での隠蔽答弁 また,本件恩賞制度の存在は,市議会にも一切説明,報告がなされ ていない。
それどころか,市議会では,本件恩賞制度を隠蔽する答弁 が繰り返されてきたのである。
まず,被告市長が平成9年12月の市議会において,入札・契約制 度についてのP25議員の入札制度に関する質問に対して,「随契と いうのは意外と有効である。
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